筒井康隆「創作の極意と掟」
小説創作をしたい人のために御大自らの創作作法と参考図書を惜しみなく紹介しているこの本。
創作のためのハウツーを得たくて購入した人は肩透かしをくうでしょう。なぜなら8、9割が実利的なテクニックよりも、そのテーマに関連した作品の紹介だから。
ただし紹介されている作品のジャンルは新旧純文学ラノベ問わず網羅されており、しかも御大の分析眼が微に入り細に入っている。
東浩紀と涼宮ハルヒシリーズに感化されて自身もラノベに挑戦したっつうから節操のないジ、いや大御所なのに探究心を失わない文筆家の鑑ですね。
ちなみにこれね、ビアンカ・オ−バースタディという作品。
Amazonレビューの中には「ハウツーというより推薦図書紹介だなあ」という声もある。恥ずかしい。正直このタイトルといい中身といい「ハウツー読んだだけで創作ができると思うなよ!」と我が魂胆を御大に見透かされているようで恥ずかしい。
内容は「凄味」からはじまり「色気」「文体」「時制」など、細かいテーマに分かれてポンポン書いてくれているので読みやすい。っていうか時制のあたりなどは「小生正直どっちでもいいのである〜」みたいにさらっと終わってて興味あるテーマとないテーマのテンションがだだ違いなのも楽しい。
あ、「反復」、「遅延」については後半時間を割いてたっぷり分析、解説しています。
私なんかはひとつひとつの構成要素すら意識したことなどなかったので「なるほどそういう要素があるんだな」と勉強になりましたけどね。あと極度の遅延が嫌いだわ自分ってのもわかりました。
文壇界で誰が誰を嫌いな話とかポロリともらしてたり、エッセイとしても十分楽しめるので筒井ファンな方と自分もなんか書いてみようかなーという方にはオススメです。
あとなんでか知らないけど筒井御大の文章読むと句点が極端に少なくなるでござる。
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