たぶん私は岩明均のファンなんだと思う。
ちなみにコミックス版は1冊669円前後で全4巻、上記廉価版ムックは4巻ぶんが1冊にまとまってポッキリ1000円。
未読の方にさきに言っておくと、
このマンガは予備知識なにもなしで読んだほうがミステリ映画みたいに楽しめると思います。
買って損はないです。この先に書くあらすじ・ネタバレは読まないほうがいいです。
でも寄生獣の延長を期待していると肩透かしをくらうかも、といった感じ。
ーーーここからあらすじ・ネタバレありーーー
あらすじ
主人公は、物質にごく小さな丸い「穴」を開けることができる「超能力」をもつ大学4年制、南丸洋二(みなみまる ようじ)。「能力技能開発サークル」の部長をしているが、その大らかな性格のためか、就職も決まらず、サークルの後輩からもナメられる始末。
ある日通う大学の教授、丸神正美(まるかみ まさみ)がとつぜん失踪する。南丸は丸神のゼミ生2人と教授の助手で講師、江見 小百合(えみ さゆり)に呼ばれ、ともに丸神教授の行方を探すためA県丸川町を訪れることに。
実は、南丸はその地、「丸神の里」にだいだい伝わる能力を継ぐ者だった。里に伝わる能力は2種類。ひとつは、「手がとどく者」ー空間に丸い穴を空け、その質量分の物質をどこか別の次元へ削りとばす能力ー、もうひとつは「窓をひらく者」ー別の次元を見る能力ー。
南丸は能力の後継者として町民から手厚い歓迎を受ける一方で、町一番の能力者で「神官」であった頼之の失踪、教授の失踪についてなにかを隠そうとする不審な町民の態度、この能力にかかわる古くからの因習を知ることになる。そして外の世界で起こる頼之の力を使った「けずり魔」事件。
果たしてこの能力はいったい何なのか、だれがどうやって授けたのか。
南丸にとって、丸神にとって、この世界にとって、必要な力なのか?
・「能力に翻弄されないシンイチ」としての洋二
この「七夕の国」って寄生獣終了の翌年から始まった不定期連載(3年で完結)。
ストーリーは寄生獣同様SF、主人公まきこまれ型なんだけど、こっちの主人公ナンマルは寄生獣の新一に比べてどこまでの泰然自若でマイペース。
モチーフとして似通うところはあるけど、新一とは対照的に「力」に翻弄されない。どこまでも変わらずに「力」を「ツール」として、自分は何ができるか、を地に足つけて考えられる人。そしてその力をなくしても平気な人。
それがこのマンガの救いでもある。
・「窓」の設定が緻密
寄生獣の寄生生物の設定同様、この「窓」の能力と丸神の里の秘密は緻密にして精巧。
こういうの細かく考えれば考えるほどリアルさが増すのね~。
・「ひらく者」の能力が曖昧模糊
「窓にとどく者」の能力、つまり主人公ナンマルや丸神教授、頼之やヒロイン幸子の兄高志のもつ「窓=穴をつくる」能力の設定はミギー同様かなり緻密なぶん、「窓をひらく者」の能力がなんだか曖昧モコモコしてたのが気になった。
やっぱご先祖様(=宇宙人?)がこの土地を守るよう強制的に見せてきた抑止作用でFAなのかなあ。でもそれって能力なのか?
ラストで頼之が穴を「外ではなく玄関」と解釈して、自らが作った穴で「窓の外」に行ったことも含めて考えると、
窓の外=群れからの疎外、死、孤独、恐れ、未知、みたいなメタファーがあるんだろう。
・幸子ちゃんの設定がヒロインと思えないくらい暗すぎ
まあそんな暗い世界何度も何度も見せられて兄から虐待も受けてたら暗くもなるだろうけど、それにしても暗い。暗すぎる。
まるで寄生獣全体の暗さを幸子ちゃん一身で引き受けているような暗さやでぇ。
・「七夕」「力とツール」「因習」がモチーフ
このマンガで描かれているものの一つとして「力に翻弄される愚かさ」があると思う。
幸子の兄高志が力を利用して金儲けしていた詐欺セミナーとそれに通う人々とか、強制的に見せられる「窓の外」の夢におびえて、もう来るか来ないかもわからない「先祖(=宇宙人?)」の到来を待ち何百年も形骸的な祭りを絶やさない丸神の里の民とか。
そして頼之の能力を商業利用しようとする武器商人的なおっさんとか。
とくに丸神の里の能力者以外の者は、ことあるたびに会合しなければ何も決められない「愚衆」みたいに描かれてる。
ラストで浴衣姿の幸子ちゃんをバックに見える「丸神の祭り」の焚き火、あれは「もう中身があるかどうかわからない力、権威」に振り回され縛られても、それを拠り所にしないと生きていけない蒙民、そしてその因習は続くんだろう、ってメッセージかなあ。
鎖に繋がれて窓の外をみないほうが、何も考えない・変えないほうがラクだもんね。
関係ないけど因習とか丸神の民の封建的なウチ/ソト意識とか、私の住んでる田舎っぽいなあと思いました。
寄生獣、ヒストリエの岩明均 半生を語る 【2chまとめ】ニュース速報嫌儲板南丸は能力の後継者として町民から手厚い歓迎を受ける一方で、町一番の能力者で「神官」であった頼之の失踪、教授の失踪についてなにかを隠そうとする不審な町民の態度、この能力にかかわる古くからの因習を知ることになる。そして外の世界で起こる頼之の力を使った「けずり魔」事件。
果たしてこの能力はいったい何なのか、だれがどうやって授けたのか。
南丸にとって、丸神にとって、この世界にとって、必要な力なのか?
ざくっと感想
・「能力に翻弄されないシンイチ」としての洋二
この「七夕の国」って寄生獣終了の翌年から始まった不定期連載(3年で完結)。
ストーリーは寄生獣同様SF、主人公まきこまれ型なんだけど、こっちの主人公ナンマルは寄生獣の新一に比べてどこまでの泰然自若でマイペース。
モチーフとして似通うところはあるけど、新一とは対照的に「力」に翻弄されない。どこまでも変わらずに「力」を「ツール」として、自分は何ができるか、を地に足つけて考えられる人。そしてその力をなくしても平気な人。
それがこのマンガの救いでもある。
・「窓」の設定が緻密
寄生獣の寄生生物の設定同様、この「窓」の能力と丸神の里の秘密は緻密にして精巧。
こういうの細かく考えれば考えるほどリアルさが増すのね~。
・「ひらく者」の能力が曖昧模糊
「窓にとどく者」の能力、つまり主人公ナンマルや丸神教授、頼之やヒロイン幸子の兄高志のもつ「窓=穴をつくる」能力の設定はミギー同様かなり緻密なぶん、「窓をひらく者」の能力がなんだか曖昧モコモコしてたのが気になった。
やっぱご先祖様(=宇宙人?)がこの土地を守るよう強制的に見せてきた抑止作用でFAなのかなあ。でもそれって能力なのか?
ラストで頼之が穴を「外ではなく玄関」と解釈して、自らが作った穴で「窓の外」に行ったことも含めて考えると、
窓の外=群れからの疎外、死、孤独、恐れ、未知、みたいなメタファーがあるんだろう。
・幸子ちゃんの設定がヒロインと思えないくらい暗すぎ
まあそんな暗い世界何度も何度も見せられて兄から虐待も受けてたら暗くもなるだろうけど、それにしても暗い。暗すぎる。
まるで寄生獣全体の暗さを幸子ちゃん一身で引き受けているような暗さやでぇ。
・「七夕」「力とツール」「因習」がモチーフ
このマンガで描かれているものの一つとして「力に翻弄される愚かさ」があると思う。
幸子の兄高志が力を利用して金儲けしていた詐欺セミナーとそれに通う人々とか、強制的に見せられる「窓の外」の夢におびえて、もう来るか来ないかもわからない「先祖(=宇宙人?)」の到来を待ち何百年も形骸的な祭りを絶やさない丸神の里の民とか。
そして頼之の能力を商業利用しようとする武器商人的なおっさんとか。
とくに丸神の里の能力者以外の者は、ことあるたびに会合しなければ何も決められない「愚衆」みたいに描かれてる。
ラストで浴衣姿の幸子ちゃんをバックに見える「丸神の祭り」の焚き火、あれは「もう中身があるかどうかわからない力、権威」に振り回され縛られても、それを拠り所にしないと生きていけない蒙民、そしてその因習は続くんだろう、ってメッセージかなあ。
鎖に繋がれて窓の外をみないほうが、何も考えない・変えないほうがラクだもんね。
関係ないけど因習とか丸神の民の封建的なウチ/ソト意識とか、私の住んでる田舎っぽいなあと思いました。
おまけ
278 :番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です:2013/02/08(金) 17:43:52.85 ID:Dg5GZckt0
この人の描く死体ってちゃんと死んでるから凄いただの切断された手とかじゃなく死んでることがわかる
どんだけ死体好きなんだろうな
ほんとそう思う。冒頭の喜十郎の生首とかほんと死体のそれだもんな。
岩明先生どんだけ観察してるんだよ。
言葉ったらずですがこのへんで。
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