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2015年1月14日水曜日

坂道のアポロンAmazon無料お試し中!ハマった&好きなジャズ曲

卯野です。ビル・エヴァンス眼鏡最高!神経質眼鏡は正義!

坂道のアポロンが1〜3巻までAmazon KIndle版で無料お試し期間になっていることを知り、さっそく購読。ドハマりしたのでログです。



あらすじ

舞台は1960年代。父親の仕事の都合で横須賀から長崎、佐世保へ転校してきた高校生、西見薫(メガネ)。そこで出逢った川淵千太郎(デカイ)、迎律子(ウブい)たちとの、ジャズと恋と友情を描く。

感想


なぜ今まで読まなかったのか


坂道のアポロンはアニメ化してるのも知ってたし友人から「いいよ!」と勧められてきたんだけどなぜか手にとってなかった。昨日3巻まで一気読みしたあとに「なんで今まで手に取らなかったんだ…」と小一時間じぶんに説教しました。

1960年台の長崎の空気感、薫の神経質そうな眼鏡、千太郎のバンカラ感、律子ちゃんをめぐる高校生の友情と恋慕。わりとたんたんと描かれてるんだけどなんかもうすべてがいい空気。あと薫のおにぎり食うシーンがエロい。


小玉ユキ先生自体を好きになった


1,2,3巻には作者である小玉ユキ先生の短編もおさまっているんだけど、その作風も好きになった。「種男」とか不思議な空気でいいですね。わりと思いきって不要なディテールを省いているので、短編を書く際、説明する際の良いお手本になりそうです。



好きなジャズ

有名どころしか知らないんだけどジャズも好きです。


Waltz for Debby ビル・エヴァンスの神経質そうな眼鏡とロマンティックなピアノが良い。


Chet Baker sings よりMy funny Valentine。スモーキーでやさしい声色が反則。

Charles Mingus
ヴンヴンうなるウッドベースがカッチョコイイ。


Alice Coltrane
ジョン・コルトレーンの奥さん。
ジャズにハープ&オリエントが合うと教えてくれたのは彼女。

気になる人はお試し期間のうちに読んでみてね。
残りのアポロン買うかー…全部で2600円…。

2014年12月1日月曜日

子どものころハマったマンガを再読するの面白い-清水玲子「月の子」

卯野です。
子供の頃にハマったマンガを再読してみるとまた違ったものが見えてきて面白いよ、というお話。
ネタバレ含みます。

清水玲子「月の子」

1988〜92年にかけて少女漫画雑誌「LaLa」に連載されたSF作品。
アンデルセン童話「人魚姫」をモチーフにして描かれた。文庫版全8巻。




あらすじ

舞台はNY。かつて天才といわしめたが今は売れないダンサーのアート・ガイルは人身事故をおこし、事故のショックで記憶を失ってしまった少年(?)をジミーと名付け、面倒をみることに。
実はその少年ジミーは人魚族の「女性体」で、産卵のために兄弟たちと月から地球へかえってきたのだった。
そしてジミーの母親は童話「人魚姫」のモチーフにもなり、人間の王子との種族をこえた恋で仲間の人魚族たちに多大な被害をあたえた「セイラ」。

ジミーが人間であるアートと恋におちればふたたび世界の均衡はこわれ、この星は滅んでしまうと預言する人魚の長。

ジミーのきょうだいで彼を憎むきょうだいのティルトは、同じきょうだいで「スペアの女性体」であるセツの命を救い、ジミーの代わりに彼を女性体にしようと魔女と契約、交換条件にこの地球を破壊すると約束してしまう。

人間「ギル・オウエン」の姿を借りてチェルノブイリ原発事故を起こし、ジミーの命と地球そのものを壊そうとするティルト。

ジミーとアートの恋はこの世界を滅ぼしてしまうのか、それとも――。




はい。以下、再読して初めてわかったことザクっと。

名前にこめた意味

ジミー(本当の名前はベンジャミン)のきょうだいは2人いて、名前はティルトとセツ。
この物語において「裏切り者」は2人いて、公にはジミーが同族を裏切ってまた人間(アート)とくっつこうとしてやがるって非難されるんだけど、実際に魔女と契約して人魚も人間も殺しちゃえってなるのはティルトなんだよね。

で、「ティルト」は「tilt」=傾く、つまりこの物語において世界のバランスを壊そうとする役割。
そうなると、それと対の位置にいる「セツ」はたぶん「set」。母セイラが結ばれるはずだった人魚の血を引くショナと恋に落ち卵を身ごもることで、世界の傾きを修正しもとの位置におさめる役割だったのではないかと。
(追記:「ベンジャミン」は観葉植物のあのベンジャミンしか思いつかないんだけど、作者が意味を込めるとしたら花言葉の「信頼」とか「永遠の愛」とかなのかな?

物語の入りはジミーとアートからだったけれど、ティルトとセツ、セツとショナ、傾きが最終話にむかって正常位置に修正され、各々の願いが叶えられる救いの物語だったのだなあと思います。

改めてみるとティルトに一番感情移入できるかな。汚れ役を一身に受けてきたその歪んだコンプレックスが人間くさい。


イデアと文脈、隠しモチーフの話

先日「文脈で解釈、分析しようとせずにイデアで作品を楽しめ」という批評態度に関するエントリを読みまして。
作品を語るときになぜあなたは「文脈」を使うんですか?(7213文字)【更新】 - 猫箱ただひとつ




「イデアで楽しむってなんだ?魂で読め!ってこと?」と疑問をもちつつ再確認したのは、「文脈を主にして作品を分析するのはたしかにもったいないことだけど、作品から文脈を完全に切り離して楽しむのはやっぱり難しいし、それも完全な楽しみ方とはいえないんじゃないかな」ってこと。
たとえば「月の子」ももともと「人魚姫」という物語の文脈の上に成り立っているものだし。

単純にストーリーを追っても面白い。
さらに自分が成長して、いろんな経験や感情、知識を得てから再読して、登場人物の心の揺れや隠されたモチーフを再発見できる。そんな作品ってスンバラシイですねっ(水野晴郎風に)。

あと幼少期に美しい清水玲子先生の画に触れていたのもいいことだったなあー。
ミュシャの模倣とかホント美しいし、残酷な描写もよりいっそう引き立っている。


清水玲子先生は現在連載中の「秘密 -トップ・シークレット- 」、小学館漫画賞を受賞した「輝夜姫 」もおもしろいですが、シリーズ物SFの「竜の眠る星」のジャックとエレナの遊星旅行中のやりとりも素敵ですぜ。





好きなマンガをベタぼめするのは楽しいっ!




2014年10月8日水曜日

人ってさびしい、人ってやさしいー吉田秋生「海街diary 」(と、私)

やっと手を伸ばせた、読みたかったマンガ。
吉田秋生「海街diary」 は月間フラワーズで不定期連載されている作品。現在6巻まで出てます。
鎌倉を舞台に、父の死をきっかけに一緒に暮らすことになった三姉妹と異母妹、そしてその周辺たちが織りなす優しく、時にさみしいヒューマンドラマ。





長女幸(サチ)、次女佳乃(よしの)、三女千佳(チカ)、そして彼女たちと父を同じくするすず。
ストーリーの中心となるこの4人の年齢がうまくアラサー〜中学生というようにばらけているため、それぞれの年代で直面するライフイベントを垣間見ることができる。 
タイトルに(と、私)と入れたのは、ちょっと私が今いる状況と重なって、主観的に読みすぎてしまったから。
以下ざくっと心に残った場面ログです。


三姉妹とすずが父の葬儀で初対面する場面。すずの実母は早くに病気で亡くなって、後妻で入った女性陽子サン(つまり彼女たちの父にとっては3番目の奥さん)とその息子たちと暮らしていた。
旦那さんが亡くなって泣きじゃくってる陽子サンに代わり周りの大人たちがすずに出棺のあいさつをさせようとするところで、長女サチがその陽子サンをバシっとたしなめる台詞はきいたなあ。
「これは大人の仕事です!」
「おとなのするべきことを子供に肩代わりさせてはいけないと思います」

その後、父の病状の世話を後妻陽子サンの代わりにずっとすずがしていたと見抜くサチ。サチに「ありがとう」といわれ、そこですずは押し殺してきた感情が溢れてきて、はじめて中学生の子どもに戻って号泣してしまいます。


ほかにも、すずのサッカークラブのチームメイトでエースキャプテン裕也が突然の足の腫瘍(おそらく骨肉腫?)で利き足を切断せざるを得なくなって、まだほんの中学生でその絶望をどうやって乗り越えるのかとか、長女サチの勤務する市民病院で、患者さんたちとどう向き合うかとか、海猫食堂のおばちゃんの死とか、どうしても病労苦関係のところで目頭が熱くならずにいられなかった。
というのは今私の現実でおばあちゃんが病床に臥せってて、死へ向き合う人間を毎日観ているから。
ばあちゃんと言っても義理だし、すごく仲良しってわけでもない。自分の身内でも祖父母はじめ家族の死に5人たちあってる・それでもやっぱり、自分の知っている人がこの世からいなくなるかもしれないという不条理は、いつまでたっても慣れない。
そういうやりきれなさを、それをこの作品みたいにこれから先、できるだけ穏やかに受けとめていけたら、って思いました。

そういった人間の機微が、ディテールが、鎌倉の街並みとともに丁寧に描かれてて、ああこれ映画でゆっくりみたいなあと思ったら2015年に映画化されるということで!


映画『海街diary』公式サイト | 2015年初夏全国公開。








どんな感じになるんだろう映画。鎌倉にも行ってみたいな。




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