森見登美彦の物語は人形劇のための戯曲のような印象。
登場人物たちもかわいくてくるくるとよく動いて濃くて、愛嬌がある。
そして人間関係の繊細なベクトルとかOPPAI!!とかに心を甘酸っぱくさせている。
自分の気持ちを伝える、たったそれだけでいいはずなのに、そうだよなあそれがこんなにも難しいんだよなあ、そんなことを再確認させてくれる一冊でした。
以下ざくっとあらすじ、良かったとこ、あえていうならの3つをログ。
ざくっとあらすじ
京都大学農学部から石川県能登の実験所への「武者修行」を命じられた主人公・森田一郎。
一郎は孤独に打ち勝つため恋文の技術を獲得すべく、恋に溺れるマシマロ体型の友人、宇宙飛行士を夢見る妹、OBで小説家の「森見登美彦」、家庭教師として勉強をみていた小学生、豪傑な女先輩、そして憧れの女性へと手紙を出しまくる。
良かったとこ
後半、主人公森田が意中の女性伊吹さんに出した手紙。以下引用。
「僕はたくさん手紙を書き、ずいぶん考察を重ねた。
どういう手紙がよい手紙か。
そうして、風船に結ばれて空に浮かぶ手紙こそ、究極の手紙だと思うようになりました。伝えなければいけない用件なんか何も書いてない。ただなんとなく、相手とつながりたがってる言葉だけが、ポツンと空に浮かんでる。
この世で一番美しい手紙というのは、そういうものではなかろうかと考えたのです。」
手紙を出すって時点で伝わる人には伝わる。むりやり伝えるべき言葉を探さなくてもいいんじゃないかな。もっというと、それが相手に届かなくたって。
そういう意味なのかな、って思った一文でした。
ここからわたくしごと。
ブログを読んだり短歌を詠んだりして、ことば遊びができる人間に生まれて良かったなあとは思う反面、ことばに縛られてきゅうくつだなあと感じることもある。ある程度の意味とか伝えない用件とか相手の反応とかとか考えなくちゃいけない。
そこいくとtwitterの☆、「ふぁぼる」ってすばらしい。
「すきっ」って総意をシンプルにかつ脊髄反射的に相手に伝えることができて最高。別に宙に浮いたまんまでも、相手に届かなくてもいい。
クリップ的用法もあるだろうし相手に反応を望む人ももちろんいるだろうけど、私は投げっぱなしジャーマン、投げキッスくらいの気持ちで使ってます。
「すきっ」って総意をシンプルにかつ脊髄反射的に相手に伝えることができて最高。別に宙に浮いたまんまでも、相手に届かなくてもいい。
クリップ的用法もあるだろうし相手に反応を望む人ももちろんいるだろうけど、私は投げっぱなしジャーマン、投げキッスくらいの気持ちで使ってます。
毛づくろいとかふぁぼとか、もっとざっくりと「すきっ」って気持ちを伝えられればいいのにね。
そんな感じ。
あえていうなら
森田くんの意中の女性「伊吹さん」、最後に出てきて符牒があうのかなーと思ったらラストそうでもなかった。もしかして森田少年が文通をしていた年上の女性が伊吹さんだったのでは!?と思ったけど出来すぎか。
「夜は短し~」でも一定の登場人物のなかで実は、という人たちと過去がつながっていたりして、そのパズル感もおもしろいです。
あと森見さんて文体が独特なので読み終わったあとしばらく感染するんだよね。このマシマロ野郎が。
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