100分de名著「ツァラトゥストラ」読了。
なんせ本作を10年以上前の抑うつ状態でげろげろ読んでたので内容ほとんど覚えてないのだけど、それでもニーチェのアッパードラッグ感は解説をはさんでなお健在だ。
脳内麻薬かなんかがドヒドヒ出てたんじゃないだろうか。創造せよ!創造せよ!
「超人」は孤独だ、「批評」の喜びを享受できる友を
一番心に残ったのはこのフレーズ。
この本はツァラトゥストラはかく語りきをものすごくわかりやすくざくっと紹介する本でもあり、研究者西研氏のニーチェを通して学んだことのメッセージでもある。
西先生いわく、「ニーチェの唱える『末人になるな、超人たれ』は強いメッセージだけれども、孤独だ」とした上で、ニーチェの提唱する創造的でより高みへいこうとする「超人」を目指すなら、他者との「表現ゲーム」を楽しむようすすめる。
西先生のいう「表現ゲーム」とは、文学作品や哲学的命題を材料に、他者との「批評」つまり語り合い、世界の見方の違いを照らしあわせ、より納得のいく価値観をつくりあげていこうとすること。
「こうした語り合いのないところに『創造性』や『高まること』はない、と先生はいう。西先生は盟友竹田青嗣氏とのこの「表現ゲーム」を楽しんでいるという。
ひとつの作品を通してああでもないこうでもないと語り合うのは楽しい。わたしとあなたのなかの共通のイデアを見つけ出そうと背伸びするのは楽しい。
そういう表現ゲームがこれから先もできたらいいし、そんな友人づきあいができたらいいなと思う。顔の知らない誰かでも。
あとここまで書いてて思ったけど「創造」って批評の先の「よし把握した、俺ならもっとこうするわ」って作業なのかな、とも。
あと面白かったのがこのやりとり(引用ではなくうろ覚え)。
「末人:日に数度胸に手をあてて行いを振り返らなければいけない、なぜならそうしないとよく眠れないから」
「ツァラトゥストラ:こいつはアホだ」
「ツァラトゥストラ」は聖書のパロディみたいな書式でキリスト教を盲目的に信じる人達への皮肉を込めてるんだけど、これって今のインターネットやらライフハックの流行やらと流れがかぶってるよなあ。
はせおやさいさんが以前おっしゃってた「Vanity Metrics(虚栄の指標)」ってのはいつの時代にもあるんだな。
「Vanity Metrics(虚栄の指標)」を見抜け - インターネットの備忘録
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「道徳の系譜学」がツァラトゥストラ他作品の解説本的立ち位置だそうなのでいつか読んでみたい。いつ読むねん…!
上下巻だけど会話が多くアフォリズム形式だからかものすごい読みやすくてサクっと読めた記憶がある。カンフル剤としてもいいと思います。